ニッケル水素電池(Ni-MH)の充放電特性

充電特性

 ニッケル水素電池もニッケルカドミウム電池と同様に、通常0.1ItAの電流で16時間、すなわち160%充電することで完全充電され100%の電力を放電することが可能になります。
 充電エネルギーのロスが、活物質を充電状態へ変換する反応やガス発生などの副反応など充電エネルギーが使用されることに起因する点や、充電効率が一般に充電電流が大きく、周囲温度温度が高いほど低下する点もニカド電池と同じです。
 また、下記のような充電時の電圧変化も傾向としてはニッケルカドミウム電池と同様ですが、満充電時の電圧の値などはニカド電池と異なるため、ニッケル水素電池をニカド電池の代替として使用する場合には、太陽光発電システム内の充放電コントローラの設計を見直す必要があります。

・充電時の電圧変化
 ニッケル水素電池の電圧は充電が進むにつれて上昇しますが、充電容量が100%を超え過充電になると若干低下し、そののちに平衡電圧に達します。
 この充電時の電圧上昇は一般に充電電流が大きく、周囲温度が低いほど大きくなります。

放電特性

 ニッケル水素電池の容量もニッケルカドミウム電池と同様に、電池を周囲温度20±5℃の雰囲気下で、完全充電し、1時間放置した後、0.2ItAの電流で1.0Vまで放電した時の電気量となります。
 実際に取り出せる容量を表す放電率もニカド電池と同様の傾向を示し、放電時の電流が大きく、周囲温度が低いほど低下します。

 ニッケル水素電池はニッケルカドミウム電池と異なり、過放電に弱い性質を持っているので、放電時の電圧が単セルあたり1.0V(*1)以下ならないよう機器の設計時に十分な注意を払う必要があります。

 *1:6セル以下の組電池の場合の値、7セル以上の場合は{(電池個数-1)×1.2}V

メモリー効果

 一般的なニッケル水素電池ではニッケルカドミウム電池同様、浅い充放電を繰り返すと、放電電圧が低下するメモリー効果が発生しますが、三洋電機のeneloopやPanasonicの充電式EVOLTA等メモリー効果の少ないタイプのニッケル水素電池も発売されています。

 メモリー効果による一時的な放電電圧低下は、1~2回深い放電(電圧が1.0Vになるまで放電)をすることにより解消します。

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